10年近く経つのでもう時効だと思って打ち明けます。
実は、虐待を疑われた過去があります。
それもママ友や近所の方とかではなく、常日頃から子供を相手にし、児童相談所に通告の義務を持つ小児科医に。
当時はもの凄くショックで……というか10年近く経つ今でもショックな気持ちは残っているんですが、それでも最近になってようやく「んなワケあるか!!」って反論できるだけの育児は出来て来ていると思えるようになってきたので告白したいと思います。
虐待を疑われた過程の詳細
虐待を疑われた対象はまこさん。我が家の次男です。
生まれは小さめの2606g
1月の早生まれのため、同年齢の子どもと比べてもかなり小さく見えます。1学年下の子どもと並べた方が自然……みたいな小さな子です。
当時、共働きで育児に精いっぱいだった私は「家計簿?何それ?」状態で、家計管理なんて何のその。働いて稼いでるんだもん。使わないでなんの為に働いてるのかと言わんばかりに、週末ともなれば外食を繰り返していました。
通っていた保育園の協力のおかげで離乳食もスムーズに進み、一口で食べられるサイズにしてあげれば自分でなんでも食べられる。好き嫌いもなく、多い時には大人である私より食べてるんじゃないかとビックリするくらい良く食べる子でした。
でも、相変わらず同年齢の子たちと比べて身体は小さいままでした。とはいえ本人は小さいことを気にするでもなく、中央値よりは大分外れてしまっているものの、成長曲線に沿って成長できているから心配しなくていいと言われていたので、あまり気にしないようにしていました。
そんなある日。
確か家具屋さん巡りをし、帰って昼食を準備をするのには少し遅くなった時間だったと思います。某回転寿司チェーン店に寄って空腹を満たした帰路のことです。まこさんがぐずぐずとぐずり出しました。
さっきまで機嫌よかったし、そろそろ寝るころだと思ったのにおかしいな? そう思ってチャイルドシートに座るまこさんを見て驚きました。
ちょっと待って!まこさんの身体が真っ赤になってる!!
慌ててコンビニの駐車場に車を停め、状態を確認しました。
抱き上げた腕、ずらしたオムツの隙間から肌の状態を確認します。
これ、じんましん……?
目に見える肌という肌のところどころがボコボコと赤く腫れがり、隆起しています。
何か変なもの食べた?
食べたことあるものしか食べてないよね?
必死に記憶を辿ってみますが、玉子にきゅうり、ハンバーグ、ツナコーン、マグロ……これまで食べたことがあり、大好きなものだけだった記憶しかありません。
我が家ではかかりつけ医に相談の上1才半ころから少量ずつ食べさせ始めました。
まこさんは喘息の気があるため、既にアレルギーの血液検査もしたことがありました。
その時引っかかったのもハウスダストと犬・猫くらい。食べ物のアレルギーがないことは血液検査でわかっています。こんなふうに症状が出たことなんて、今まで一度たりともありませんでした。
とにかく病院連れて行こう!!
土曜も午後になり通常の診療時間が終わってしまっていたため、慌てて携帯で当番医を検索。その後入れていた予定は全部キャンセルして、病院へと向かいました。
当番医で言われた衝撃の言葉「ちゃんと食べさせてる?虐待してない?」
休日の当番医はとても混んでいました。
が、不幸中の幸いと言うのでしょうか。まこさんは一旦落ち着きを取り戻し、泣くことはなく、初めて来る見たことのない病院に興味しんしんといった様子でした。
とはいえ、じんましんは一向に引く気配を見せず、顔にまでまだらな赤い斑点が現れます。
もしも一生残ってしまったらどうしよう……
私が手抜きして料理サボったせいかな?もしもちゃんと家に帰ってちゃんと手作りのご飯食べさせてたら、こんなことにはならなかったのかな?まこさんはツラい思いをしなくて済んだのかな?
次から次へと「もしも」が浮かび、後悔が止まりません。すごく自分を責めました。
ようやく呼ばれた診察室。
これはじんましんだねぇ
やっぱりじんましんだったか。
上の子も2歳ころに全身にじんましんを発症したことがあったので、やっぱりという思いが1番強かったのを覚えています。
あの時は一週間以上出てて、消えてもまた出てって繰り返したから、何度も病院に通ったんだよな。また病院通いの日が続くのかなぁ?今繁忙期なのに……仕方ないか。仕方ないけど……シンドイなぁ。
重篤な病気ではないことに一安心した途端、現実的な問題に自己都合で頭が回り始めたその時でした。
それにしても小さいねぇ。ちゃんと食べさせてる?虐待とかしてない?(笑)
処方薬の量を決める為でしょう。体重を訊かれ、答えた直後の医師の言葉です。
「食べ……させて……ますけど………」
とにかく心配で心配で駆け込んだ当番医でまさか虐待を疑われるとは思わず、それ以上答える言葉を私は持ち合わせていませんでした。
突発的に発症するじんましんは原因のわからないことの方が多い
自己嫌悪に落ち込む私を救ってくれたのはかかりつけ医の先生と保育園の先生でした。
真っ赤に腫れ上がるじんましんはひとまず引いたものの、やはり心配で月曜の朝かかりつけ医の元へ足を運びました。
それは大変だったねぇ。でももう出てないなら大丈夫だよ
まこさんが生まれる前。長男がまこさんの月齢のころからお世話になっているお医者さんは、まこさんの成長をずっと見守ってくれています。同じ保育園に通う同じクラスの子たちと比べても小柄なまこさんが心配で相談したときに「成長曲線に沿ってちゃんと大きくなってるから心配いらないよ」と言ってくださった先生です。
あの…食べたので何かアレルギーとかあったんでしょうか?
食べ物に対するアレルギー検査はして持っていないことがわかっていても、やはりもしかしたら……という思いが消えなかったので聞いてみました。
じんましんはね、原因がわからないことの方が多いの。仮に食べ物が原因だってはっきりわかるじんましんは、全体の3割にも満たない。残りの7割は原因不明なの
「原因がわからないことの方が多いんですか!?」
そう。原因のわからないじんましんがほとんどなの
かかりつけの小児科医の先生はそう言って大きく頷くと、他にも色々なことを教えてくれました。
- じんましんの7割は原因不明
- 全てのアレルゲンが血液検査で判明するわけじゃない
- じんましんの出たときの記録(食べたもの・出ていた時間など)を取っておくこと
- 同じ食べ物を食べる度に症状が出るなら詳細な検査する
- 仮に食べ物アレルギーとわかっても、小学生になるころには症状が軽減する場合が多い
症状も治まり、医師の先生からも大丈夫とのお墨付きを得て、安心して保育園へ通える状態になったまこさん。念のため預ける際に病院にかかったことを先生に伝え、何か変わったことがあったらすぐに連絡をくださいと伝えました。
夕方になっても園からの連絡はなく、無事定時まで仕事をして園に戻ることができた帰り。
けれど、私の気持ちは晴れません。
やっぱりうちの子小さいですよね?
おもちゃに夢中でなかなか教室から出てきてくれないまこさんを他の先生が説得してくれる中、今日の様子を伝えに来てくれた担当の先生に聞いてみました。
早生まれだしそう思うかもしれませんが、ちゃんと大きくなってますから。全然心配ありませんよ
毎月園で行ってくれる身体測定の折にも気になって聞いたことがあるのですが、その時と同じ答えです。
そうです、よね……
あまり心配なら一度お医者さんに相談してみたらいいと思うけど
既に医者の先生にも相談済みで、心配しなくていいとも言われています。
まこさんが小さいのは、きっと私が小さくしか産んであげられなかったせいでしょう。けれどそれは今さらどうしてあげることもできないこと。これ以上気に病んでも仕方がないことです。
しかしそうは思っても、心に大きな重しが乗っかったように気持ちは沈みこんだままでした。
そんな私に
……何かありました?
もう一歩踏み込んで聞いてくれたのです。
保育園で起きたことではないのに、忙しい先生の手を煩わせるのは申し訳ない。そう思いしばらく悩みましたが、促すように視線を送り続けてくれる先生に、週末に起きたことの詳細を伝えることにしました。
実は……
週末にじんましんが出た時に当番医にかかったこと。当番医にまこさんが小さいと言われたこと。虐待してるんじゃないかと疑われたこと。
話していて涙が出てくる自分にようやく気付きました。
まこさんのじんましんは心配だったけど、同じくらいにまこさんが小さいと指摘されたこと、虐待を疑われたことがショックだったんだ、と。
全てを聞いてくれた先生は
医者の先生がそんなこと言ったの!? まこさんはすっごくよく食べるのに!今日も給食をおかわりして、おやつも残さずに食べたのよ!こんな小さい身体のどこにこんなに入るのかってくらい食べるんだから
そうですよねぇ(苦笑)
フォローしてくれてるはずなのに、何だか申し訳ない気持ちで苦笑いするしかありません。
家でもよく食べてるでしょ?お母さんがしっかり連絡帳に書いてくれてるから知ってるわよ
当時通っていた保育園では、乳幼児のころは連絡帳で園と家との様子をやり取りしていました。
保育園から帰ってから何をして過ごしたか。夜ご飯は何をどれだけ食べたか。何時頃寝たか。朝何時に起きて、何をどれだけ食べたか。排尿・排便の様子は? 熱は何度か?
そんな細かなことを毎日毎日書いていました。
慌ただしい朝には(昨日と同じ)で済ませたいと思ったことも一度や二度じゃありません。ですが、仕事とはいえ、同時に何人もの子どもたちをみている先生は、何人もの子どもの連絡帳を書かなければなりません。
『今日は神社までお散歩に行きました。どんぐりを興味深そうに拾ってはたくさん集めていました』と書かれた連絡帳と、一緒に添えられたビニール袋に入ったどんぐり。離れている間見ることの出来ない成長を覗き見ることができて、とても嬉しかったです。
先生方がとても愛情を持って子供と接してくださっていると伝わってきたので、安心しておまかせをすることができると思えました。
私も親なんだからこのくらいは書かなきゃなぁと、半ば……いや、正直9割は義務感で書いていました。
そんな連絡帳だったのですが、先生はちゃんと内容まで読んでくれていました。
そして私が先生方が子供に愛情を持って接してくださっていると感じたのと同じように、私も子どもに愛情を持って接していると感じてくださっていたのです。
お母さんが食べさせてないことなんて無い!虐待なんて無い!!
そうキッパリと断言してくれたのです。
この言葉に、私の心に乗っかった重石はふっと軽くなったのです。
二人目とはいえ、絶対の自信を持って子育てなんてできません。
いつだってこれでいいのかな? 間違ってないかな? と、迷いながら、けれど必死に子育てをしています。
それは自分自身に自信がないからかもしれませんが、それ以上に子どものことが大切だからです。大事だから、少しでも子どもにとって良い選択をしたい。良いものを与えてあげたい。そう思うんです。
先生という立場の人の言葉は重い
最近先生による先生のいじめ(を超えた暴行・傷害・強要・侮辱罪だと思いますが)が明らかになり、加害者側の先生方のコメントに批判が殺到しています。加害者側教師には、教職を続けることに疑問の声が上がっています。
今回の事件については被害者から被害届が出された状況であり、法で裁かれるか否かすらまだわかりません。仮に罪に問われ有罪と判じられても、更生の道が残されている必要はあるでしょう。
しかし一人の子をもつ親の心情としては、そんな先生には子供と関わらせたくないというのが本音です。
友達同士のやりとりとは違う。通りすがりのおじさんに怒られるのとも違う。子どもたちが進むべき道を指し示し、導いてくれるのが先生という存在なのです。
「虐待とかしてない?」
そう言った先生は笑っていました。
緊張を和らげるための軽口として言ったものなのか、真意を探ろうとして投げかけられた言葉だったのか。今となってはわかりませんが、たった1度しか診てもらったことのない先生です。私たちの親子のことなど覚えていないでしょう。しかし10年近く経った今でも言われた側の心には深く刻まれたまま消えることはありません。
もしもこれがママ友に言われた言葉だったら、私はきっとこんなにも深く傷つかなかったでしょう。
「は?ありえないけど」
そう即座に反論し、言い返すこともできたでしょう。
「食べても食べても太らない体質みたい。羨ましいよ!」
そう笑い飛ばすこともできたでしょう。
けれど相手は小児科医。
子どものことに関してはプロの立場です。
素人はプロの見解に頼ることしかできません。
当番医の先生の言葉で傷ついた私の心を軽くしてくれたのは、かかりつけの小児科の先生と保育士の先生でした。ママ友や友人に「そんなことないよ」と否定してもらっても、きっと同じようには私の心は軽くならなかったでしょう。慰められることはあっても、でも先生がそう言ったんだし…そう思ってしまったと思います。
先生と呼ばれる立場の方の言葉の重さについて、先生方はどうか今一度考えていただきたいと思います。
医師に虐待を疑われた私が、子育て中のお母さんに知って欲しい2つの教訓
なぜ10年近く経った今、このことを今さら記事にしようと思ったのか。それは当時の医師を糾弾したかったからではありません。
年月を経て、教育に関わる環境も状況も違っていても変わらない、たった2つだけ伝えたいことがあったからです。
その2つとは
- 信頼できるかかりつけ医を持とう
- 相談できる人に相談しよう
です。
1.信頼できるかかりつけ医を持とう
信頼できるお医者さんがいると、何かあったときにも安心です。何度か見て貰っていると自分の子どもの特徴なども覚えてくださるので、数多くの子どもを見てきた上での経験則をかけあわせて、自分の子どもに適した診断をしてくれます。
自宅から近いお医者さんが通いやすいですが、同等に重視すべきは相性です。
予防接種でもない限り、子供ことが心配な状況でしか医者にはかかりません。いえ、予防接種でも副作用が考えられる以上、やはり心配の種は尽きないでしょう。
そんなときに相性の合わない医者に出会うと、安心できるどころか余計な心配が増えるだけです。
信頼できるかかりつけ医を見つけ、何かあったときにはこの先生に診てもらえれば大丈夫とまで思えたら最高です。
2.相談できる人に相談しよう
自分を育ててくれた親でもいい。同じ時期に出産したママ友でもいい。保育園の先生でもいい。ネットだけの友人でもいい。もちろんパートナーでもいい。
とにかく誰かに相談しよう。
一人で抱えこむのが一番辛くてシンドイから。
困ったこと、悩んでること、何でもいい。こんなことで…とか思う必要は全くない。
あなたの心に少しでも引っかかるものがあるなら、それは相談する必要があることなんです。
そうはわかっていても、なかなか相談できないときもあるよね。
恥ずかしいから。
大事にしたくないから。
心配をかけたくないから。
そんな時はそういう専門のサービスを利用しましょう。
ココナラなら、どんな相談にも乗ってくれるカウンセラーがいます。育児中は自分の病院にかかる時間さえ惜しいけれど、ココナラなら子どもがお昼寝をしているスキに自宅からでも相談ができます。
多少のお金を払う必要があるけれど、その分割り切って話をできるメリットがありますよ。
以上、「子どもにちゃんと食べさせてないんじゃないの?」と、小児科医に虐待を疑われた話でした。
私の辛かった育児の思い出が、今育児に悩まれている方の心を軽くする一助となれましたら幸いです。
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